PHPの「歴史街道」という雑誌を買ってみた。
奇遇なことに,坂井三郎氏に関しての特集だった。
坂井三郎氏は,大空のサムライと呼ばれた太平洋のエースパイロットであり,100を越える出撃のうちで,愛機を一度も壊したことがなく,また,同時に出撃する僚機(当時3機1グループとして出撃していた)を一機も失ったことがない,というまさにエース中のエースであった。また,戦後もずっとご健康でおられたため,著作は各国語に翻訳されて全世界に読まれ,アメリカ軍からの高い尊敬を受け,数々の式典にも参加しておられた。
彼の戦法は,
1.高い視力で敵をいち早く確認し,
2.絶対有利な体勢に持ち込み
3.一撃で決める
であった。つまり,敵の背後にいち早く回り込むことが重要であり,一対一の格闘戦や深追いは禁物とした。
そんな彼も,何度か死の危機に瀕したことがある。1度はガダルカナル島に上陸中のアメリカ軍を爆撃する爆撃機の擁護で行ったときに単座の戦闘機(後ろから回り込めば必勝)と思った飛行体が実は複座の爆撃機(後ろに銃がついている)であり,その際16機から一斉射撃を浴び,両目ほぼ失明,左半身不随の重傷を負った。彼は,自爆を何度も考えながらも,もうろうとする意識の中で1000kmを越える距離を太陽の位置を手がかりに飛び続け,燃料残量ぎりぎりでラバウル基地に帰投した。もう一度は,特攻を指令されたが,仲間はかなり撃墜され,日没および荒天という最悪の条件の中,硫黄島基地までもどったことである。どちらの場合においても,彼は
4.不撓不屈の精神
をつらぬき,絶対に死なないことを強く思って,孤独に打ち勝ったとのことである。
零戦乗りは,例え国力で国が負けようと,戦闘機同士の戦いでは,絶対に負けない,と強く思っていた。この,集団と個の分離,という高度な精神鍛錬も,現代社会では大変レアになってしまった成熟した境地であると思った。
もちろん,僕はもう一度戦争をしたいからこの1ー4を列挙したわけではない。