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ノモンハンの夏

ノモンハンの夏 (文春文庫)
半藤 一利著

無能な関東軍幹部によって繰り広げられた一夏の戦争。
現場は,事実を曲げて中央に伝え,極めて楽観的な,根拠なき作戦を遂行,屍の山を築く。
兵の消耗率は70%を越え,まさに悲惨極まりない近代戦の幕開けであった。

この話の中で対照的に描かれるのは,関東軍を統制不能になっている日本陸軍と,一方でドイツとの交渉を進め,西側状勢を冷静に見ながら,日本との国境線を極めて冷静に推し進めるソ連の独裁者スターリンである。

日本がノモンハン事件で完全敗北を喫さなかったのは,ひとえにこのスターリンの西側状勢重視思考(当然なのだが)と,その時たまたま動いたドイツの動きであろう。
スターリンは,そのすべてにおいて冷静で,ほぼ正しい予想をしていた。その論理性,直感力は驚くべき物であり,彼が独裁者として君臨していた根拠として十分である。ただ,スターリンは,弱腰であった。ほぼ確実に勝てる場面でも,慎重を期した。ここもまた日本陸軍と好対照であった。

何もない満州の大地で大きな目的もなく起こった国境紛争。そして失われた多くの命。夏の日の灼熱の光線が沁みる。

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2008年07月29日 14:36に投稿されたエントリーのページです。

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