『誰も知らない Nobody Knows』
「誰も知らない」という映画を見た。2004年の作品だそうで。
元はといえば,イタリア人のつんつるてんな男に,イタリアの映画が好きだ,といったら,これを勧められたんだけど。
ほとんど無声映画のような気がする。
4人きょうだいの未婚の母が失踪。過酷な状況の中幼い弟妹の面倒を見る長男。
半分ノンフィクション,というか,巣鴨子供置き去り事件を題材にしているそうで。子供の人数も一緒。
母親の無責任さとは裏腹に,長男の力強さが光る。ただし,この長男の独断で動いている行動は,取り返しのつかないことにつながるんだが,それも,大人を頼ることのできないってことだろう。
そしてでてくるものでてくるものまったく汚い。水道も電気も止められたから,もうにおいが伝わってくるようだ。洗濯は近所の公園に行き。水くみも近所の公園。おいらもなかなかシビアな生活を味わいかけることはあるけれど,それでも水や電気はあった。空港に向かうモノレールが走るその近くで,このような前時代的な生活が行われた,というだけでもかなり画期的である。
そして,途中から出てくる近所の中学生の子の存在が良い。
この子は,仲間からいじめられて,仏花なんてもらっちゃうような子なんだが,これがそのくさーい家に入っていくし,長男と一緒におとうといもうとの面倒を見る。
すごくいい家の子みたいなんだけど,お金がない,とわかると,援助交際をする。カラオケ行っただけだよ?といい,金を長男に渡そうとするが,長男はこれを拒否。長男はプライドを傷つけられたんだろう。金が必要であることと,自分の親しい子に迷惑をかけたという苦悩。この板挟みで長男は走って逃げちゃう。葛藤。葛藤から逃げざるを得なかった。悔しかったんだろう。
そして,最後,いもうとが死んじゃうんだけどね(これは病院に行けば助かったのかもしれない)。そのときに,その女の子も一緒に羽田空港まで埋めに行く。死体をスーツケースに入れて。
埋める前に,飛行機の轟音の下で,二人はほとんどしゃべらない。でも,長男は妹が冷たくなってて気持ち悪かった,と話す。女の子は男の子の手にそっと手を載せる。言葉はない。
親に捨てられた男の子と,仲間に捨てられた女の子。普通に考えれば,ここはできてるだろう。しかし,そんな簡単なことではないわけで。女の子は長男のことをすきだった。男の子も半分そこを受け止めている。そこに,思春期特有のテレというか,そういうのが存在しないのが興味深い。
今,たぶんこのきょうだいのうち3人は生きているのだろうけど,この映画を見てどう思ったのだろう。